ロシアとのビジネスの玄関口ブルガリアの魅力
皆さんは東欧ブルガリアと聞いてどんなイメージを持たれるだろうか?
ヨーグルト?
EU加盟国?
大相撲の元大関・琴欧洲?
もちろんどれも正解である。
ただ、ブルガリアは日本ではあまり知られていない顔がある。
それは、”ロシアの玄関口”であるということ。
元々は旧ソ連の衛星国家であるから現ロシアと近いことは何となくは想像できるが、ロシアにとって大いにメリットのある国、それがブルガリアなのである。
ブルガリアの公用語であるブルガリア語。
元々、ロシア語と同じスラブ語系の系統であることもあり、非常に近い。
結果、ブルガリアには多くのロシア語スピーカーが存在する。
ブルガリアはEU加盟国であり、EU域内を自由に行き来できる”シェンゲン協定”の加盟国でもある。
上述の通り、元々言葉が近いこともあり、ブルガリアに投資した結果としてブルガリアパスポートを取得するロシア人というのは実はとても多い
流れはこうである。
まずは(タッグを組んでいる)ブルガリア人名義で企業登記→企業名義で不動産購入→その企業をロシア人投資家が購入(=移譲)
現在も、ブルガリアでは外国人名義での土地購入は認めていない。
ただ、上記プロセスにより、不動産は合法的にロシア人のものとなる。実際、ブルガリア外務省によるブリーフィングによればなんと30万人近いロシア人がこの方法でブルガリアに不動産を有しているという。そして、10年ブルガリアに在住することでEUを行き来できるブルガリアパスポートを取得できるのである。
この30万人という数字の全員がブルガリアに在住しているわけではない。
ブルガリアのメディアDirの報道によれば、実際に定住しているのは12,000人ほどとのこと。
”黒海”という名前があまり良くない。英語で書けばBlack Sea=黒い海である。
でも、実際には青くて美しい海。
スズキやヒラメの漁場としても知られ、日本にもアカニシ貝が年間約800トンも輸入され、日本のコンビニにも並んでいる。そんな青い海を求めて、6-9月頃の夏場、ロシア人は大挙してブルガリアにやってくるのである。気候も、寒くもなく暑くもない、かつジメジメもしていない快適なものである。
そう、東欧屈指のリゾート地なのである。
実際、”ブルガリアには首都が2つある”とよく言われる。
一つが政治の首都ソフィア(Sofia)だが、もう一つが黒海沿岸の街、ヴァルナ(Varna)。
普段はウィーン、イスタンブール、モスクワに1日1便程度の定期便が運航している空港が、夏場、モスクワからの便だけで1日に5便近くのチャーター便が飛んでくる。皆、黒海でのバカンスを求めて、である。
水産業だけでなくチーズをはじめ農産物の評価も高い黒海沿岸地域。旧ソ連系の中でブルガリアは”高品質”の代名詞であった。今でもその名残は残っている。旧ソ連系の国でサラダを食してみてほしい。そこには必ず、ブルガリア産のペッパーやチーズが今でも使われているはずだ。更に最近ではブルガリアワインのレベルが年々上がり、日本でも注目を浴びつつある。
いまはまだ、皆さんがブルガリアを目にするときはワインやヨーグルト、アカニシ貝など食品関係がほとんどだろう。
だが、ロシアビジネスの玄関口としてブルガリアを活用してみるという選択肢は大いにあると筆者は考え、現地に通う日が毎年続いている。
文/小林邦宏
旅するビジネスマン。これまで行った国は100ヶ国以上。色んな国で新しいビジネスをつくるおじさん。
現在は新型コロナウィルスの影響で海外渡航制限中により国内で活動中。
オフィシャルサイト:https://kunihiro-kobayashi.com/
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著書:『なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?』(幻冬舎)