ヨーグルトだけじゃない 東京・八重洲「ソフィア」【GOHAN特製原稿 五輪編】

2016/07/11

「スネジャンカ」。パンと一緒に食べてもおいしい

 東欧にはロマンを感じる―。不思議なことに昔からそうだった。フランスやイタリア、イギリスといった西欧諸国に比べると、その土地についての情報が少ないため、勝手にミステリアスなイメージを持ってしまうからだろうか。


 だが、そんな東欧諸国の中でも名前だけは日本中の誰もが知っている国がある。そう、ヨーグルトの商品名でおなじみのブルガリアだ。長寿の国としても有名な彼の地の料理とはいかなるものか。確かめるために、本格的なブルガリア料理を提供する日本唯一の店という東京・八重洲の「ブルガリアダイニング ソフィア」に向かった。


 JR東京駅から徒歩で約5分の「ソフィア」は2006年の開店。当初は東京・汐留にあったが、10年に八重洲に移転した、洋食の名店「ドンピエール」がプロデュースするブルガリア大使館公認のレストランだ。


 「基本的にヨーグルトを使いますが、すべてというわけではありません」。尋ね慣れているのだろう。常盤祐美子・ドンピエールグループ広報部長が、こちらの疑問に先んじて話してくれた。


 メニューを開く。タラトル、スネジャンカ、キュフテ、カヴァルマ…。見慣れない料理名が並んでいる。写真と説明文がなければ、想像すらできない。ちなみに、タラトルはヨーグルトスープで、スネジャンカはヨーグルトのサラダ、キュフテはブルガリア風ミートボール。そして、カヴァルマはヨーグルトを使わない煮込み料理だ。


 スネジャンカとカヴァルマを注文する。まず、しずく型の模様が印象的な「トロヤン焼き」の皿に乗せられたスネジャンカが供された。水気を切ったヨーグルトにおろしニンニクとみじん切りしたキュウリ、ハーブのディルを混ぜ合わせてある。「現地では『白雪姫』と呼ばれているんです」と常盤さん。雪のように真っ白なところに由来しているという。


 口にすると、クリーミーでさわやかな酸味が広がる。キュウリのしゃきしゃきとした食感が心地よい。そして、トッピングのクルミが絶妙なアクセントになっている。



「カヴァルマ」。豚肉と野菜のうまみあふれる料理だ


 続いて、カヴァルマ。豚肉と野菜をオーブンで煮込んだブルガリアを代表する料理だ。さわやかだが、なじみのない香りがする。常盤さんによると、「チュブリッツァー」というハーブで、ブルガリアの肉料理には欠かせないものだという。


 熱々を頂く。間違いのない味だ。次に、乗せられた半熟の卵を崩す。まろやかさとコクが加わり、さらにおいしくなる。取材そっちのけで夢中になって食べていると、たっぷりあったはずのカヴァルマをあれよ、あれよという間に無くなっていた。何とも不思議だ。東欧のロマン、恐るべし。


  ■  ■  ■


 ランチタイムはスネジャンカやタラトルなどのブルガリア料理の前菜をバイキング形式で手軽に食べることができる。また、バラの生産としても知られる同国にちなみ、ローズオイルとワインを合わせたローズワインも楽しめる。


榎並秀嗣@八重洲(47NEWS) |2016/07/11|


店名「ブルガリアダイニング ソフィア」
住所東京都中央区八重洲2−5−12 プレリー八重洲ビル2階
営業時間昼11時(土曜と祝日は11時30分)〜15時、夜17時30分〜23時(土曜と祝日は22時)
定休日日曜
連絡先03(5200)0141


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