(子どもの本棚)「金の鳥」 一気にブルガリア昔話の旅へ

2019126

 (絵本評論家・作家 広松由希子さん)

 ■「金の鳥」 ★八百板洋子文、さかたきよこ絵、BL出版、税抜き1600円、5、6歳から


 まばゆく幻想的な表紙で、一気に異国へさらわれるブルガリアの昔話絵本。でも、文も絵も日本人による作品です。

 王の命により金の鳥を探しに旅に出た3人の王子。兄2人はずるくて怠け者、正直で賢いのは末息子というのは昔話のパターンですが、末の王子もつい欲望に負けたり油断したり。空飛ぶ馬やクルミの殻に入った花嫁衣装など、ときめくアイテムで苦難を乗り越えます。東西の文化が交わり、複雑な民族の歴史をもつ国のしなやかな昔話。白黒の版画絵本で海外デビューした画家の、日本初の絵本です。あでやかで品のある色感、大胆な構図に導かれ、読み応えのある物語に引き込まれます。繊細な描き込みで、長い旅路も飽きさせません。

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